強制労働の重大性




経済がますますグローバル化する現在、低賃金労働者の恒常的な供給を招き、人身売買や強制労働の温床となっている。商取引のネットワークが拡大するにつれ、企業がサプライチェーン全体を通してサプライヤーのビジネス手法や活動、さらに管轄する事業活動を効果的に監視することがますます困難となっている。

2016年には未曽有の規模で国境を越える強制移動や移住が起こり、強制労働を含むあらゆる形態の現代版奴隷制のリスクが大幅に増加した。1

労働力の強制使用で罪に問われた場合、企業は無知を盾に法的責任を免れることが難しくなっている。サプライヤーやパートナーを含む中間業者の行動に対して、企業が責任を問われるケースが増える中、企業はビジネス活動のどこに強制労働のリスクがあるかを特定し、強制労働を助長する以下のような要因を理解することが重要である。

  • 危険な作業や不適切な業務にあたる労働者や、簡単に解雇・補充できる未熟練労働者を雇用する。
  • 季節や製品のライフサイクルにより激しく変動する労働需要。
  • 遠隔地やアクセス困難な地域など、監視を阻む現場環境。
  • 人身売買が横行する国からの労働者など、移住労働者への過度の依存。
  • 雇用契約を手助けする斡旋人や仲介業者がサプライチェーンに多数存在する。
  • サプライチェーンがますます複雑かつ不透明となり、生産や調達が外部委託されるにつれ、サプライチェーンの監視および統制が手薄となる。
  • コストを抑えるべく、価格の下落競争を引き起こす。
  • サプライチェーン内の汚職やアカウンタビリティの欠如。

多くの企業にとり、依然として水面下で横行している強制労働の特定は困難である。強制労働のリスクが表面化するのは主に以下のケースである。

  • 斡旋業者や下請け業者を介して労働者の求人・採用を行う。
  • 強制労働の環境下で生産された製品を使用する。

では強制労働は企業にどのようなインパクトを与えるのか。

強制労働が事業活動に及ぼすインパクト

コンプライアンス上の問題

  • 強制労働は国際法および大多数の国内法が禁じる犯罪行為である。起訴された企業には刑事もしくは民事制裁が科される。
  • 強制労働のリスクおよび対応策について、企業に対して法的強制力のある報告義務を課す国が増えている。
  • 国際的に事業を展開している企業は、相手国の国内法や規制にとどまらず、第三国の規制の対象となりうる。さらに国境をまたぐ規制の対象ともなりうる。
  • 従業員やNGO、ロビー団体、メディア、さらに強制労働の被害者自身からの訴えにより法的リスクにさらされる可能性がある。

企業の評判を損なう危険性

強制労働の申立てが行われた場合は以下の危険性を伴う。

  • ブランドの価値や企業の評判、顧客の信頼を大きく損なう恐れがある。
  • 業界全体にダメージを与え、国内外を問わずビジネスパートナーに大きな影響を及ぼす。
  • 現行および将来的な事業提携を脅かし、契約や将来的ビジネスチャンスを逃すことになる。
  • 規制当局の監視が強まり、規制当局や一般市民から厳しい目を向けられることで企業や業界全体の評判を下げる危険性がある。
  • 投資家からも厳しい目を向けられることで企業や業界全体の評判を下げ、共通価値を損なう危険性がある。

貿易関連のリスク
  • 強制労働の環境下で生産された製品の輸入を禁じる国々では、強制労働の申立てが行われた場合、製品が押収されるリスクがある。

投資および融資への危険性

強制労働の申立てが行われた場合は以下の危険性を伴う。

  • 投資家向け広報活動が大きなダメージを受け、さらに倫理的な主要投資家からの投資撤退リスクが大幅に増大する(特に企業の評判が損なわれた場合や、起訴されている場合)
  • 輸出信用など、倫理的行動に応じて公的機関が支援している公的資金の対象から外れる。

サプライチェーンの途絶

  • 労働者のストライキもサプライチェーンの途絶を引き起こす。
  • サプライチェーンの途絶は、生産性を低下させ、生産や納品の遅延を招くことで販売を妨げ、減益となりうる。
  • さらに危機管理によりコストを少なからず増大させうる。

上記のリスクを念頭に入れ、強制労働の根絶に注力する事業活動が増えている。CSRアジアサミットでは、この世界規模の課題について討議し、ビジネスソリューションを含めて解決策を探っていく。サミット詳細についてはこちらからCSR Asia Summit 。

1. ウォークフリー財団 「世界の奴隷指数2016年度版 (Global Slavery Index)」

執筆:エリン・ライオン