野生動植物の違法取引をどのように解決していくか




野生生物の取引を監視・調査する TRAFFICによると、野生動植物の違法取引は、世界における違法取引の中で麻薬密売と武器密輸に続く第3位の規模となり、何百億米ドル(tens of billions of US dollars)も稼ぎ出す市場であると推定される。世界各国で横行する国際犯罪となっているのだ。

多くの生物種にとり、乱獲は生息地の消失に次ぐ第2位(second-largest)の直接的な脅威となっている。グローバル規模での野生動植物の合法的な取引は、国連の「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約: CITES)」により規制されている。アセアン全加盟国や中国、日本、韓国を含む183の加盟国(183 member countries (Parties))が合意し、野生生物の標本の国際的取引が種の存続を脅かすことがないよう確認し、多くの絶滅危惧種や危急種を含む35,000種(35,000 species)を超える動植物を深刻度に応じて分類し、保護することを目指している。

アジアにおける野生動植物の違法取引

野生生物の密輸は世界規模の課題であるが、特に生物多様性の宝庫であるアジアは違法取引の「ホットスポット」として知られている。密猟の温床となり、一大製品市場をなしているためだ。違法製品には動物の皮やウロコ、骨、肉、その他の組織が含まれ、医薬品の原材料、食品、衣服、装飾品としての需要がある。この他にアジアの鳴禽類(めいきんるい・さえずりが美しいスズメ目スズメ亜目の別称)など、珍しいペットとして生きた動物も取引の対象となり、さらに木材や希少品種の観葉植物などの野生植物への需要も高まっている。このような需要により、無数の生物種の生存が脅かされ、絶滅危惧種を絶滅に追い込む乱獲が引き起こされている。

野生生物の密輸への対策が講じられる中、特にアジアでは急務となっている。先日、シンガポールは象牙の売買禁止(ban on the sale of ivory,)を検討していると発表し、マレーシア(Malaysia)やベトナム(Vietnam)などでは違法取引への強制捜索や摘発を強めている。アジアのビジネス界で野生生物の違法取引に関する議論の注目度が高まり、昨年のCSRアジアサミット(CSR Asia’s Summit last year)では個別セッションを設けて討議し、当週刊ニュースでもこれまでトピックとして扱ってきた(バックナンバーはこちらnewsletter article)。

企業と違法取引の関わりとは

野生生物の密輸は一大ビジネスとなっている。規模の大小に関わらず、犯罪組織のネットワークが世界中で違法製品の密猟・密輸・密売に手を染めている。これらの取引は単独で行われるのではなく、企業は否応なしに合法的ビジネスの中で、サプライチェーンのさまざまな段階で接点を持つことになる。

密売人は違法製品を国内外問わず、流通させなければならない。物流会社に気づかれることなくサービスを悪用し、陸・空・海路による輸送を果たしている。さらに製品を販売しなければならない密売人は、オンライン・プラットフォームやソーシャルメディアを活用することで顧客にアクセスしている。

企業はこれらの接点に対策を講じることで、野生生物の違法取引を封じ込めることができるのだ。

対応策:DHLの事例

DHLをはじめ多くの企業は違法取引を阻止する実効策を検討している。DHLは先日ウェブサイト「モノの流通」に「野生生物の密輸ストップ」という記事を掲載した(‘Stopping Wildlife Trafficking in its Tracks’)。この中で、物流ネットワークを活用して違法製品を密輸する業者に対して、いかにして自社サービスが悪用されることがないよう予防策を講じてきたかを詳述している。(詳細はこちらhere

次のステップ

これまで野生生物の違法取引の解決策は政策立案者や法執行機関、自然保護団体に委ねられてきた。しかし今や企業を取り込んでの解決策が必要なことは明らかである。違法取引を断ち切り、密輸の問題を解決するには官民セクターが協働して注力していくと同時に、業界別の対応策も求められているのだ。

この記事に対するご質問は、CSRアジア・プロジェクトマネジャーのアンジェラ・フルシャム Angela FoulshamまたはDHLアジア太平洋・中東・アフリカのアマンダ・デシルバAmanda De Silvaまで。

画像クレジット: Kenneth Cameron / USFWS (2) – カメルーンで焼却処分されたセンザンコウのウロコ。センザンコウは世界で「最も密売されている哺乳類(most illegally traded mammal)」という不名誉な称号をつけられている。

執筆:アンジェラ・フルシャム