シンガポールにおけるサステナビリティ報告の進捗状況




シンガポールでは、サステナビリティへの機運の高まりがここ数年で顕著になっている。いくつかを紹介すると:

1.エネルギー保全法や公益事業(水の供給)規制、今後制定される持続可能な包装に関する新法に加え、サステナブル・シンガポール・ブループリント等の法案は、企業に対してより環境的に持続可能な取組みを進めるよう呼び掛けている。

2.未来経済委員会(CFE)が先日発表した報告書 report は、政府に対して引き続き持続可能な環境を生み出すよう勧告し、将来的に法令という形で企業に影響を及ぼす可能性がある。

3.シンガポール環境水資源省のマサゴス・ズルキフリ大臣は、水道料金を17年ぶりに値上げすると先日発表した(announcement)。これは生産コスト上昇と、天候不順が見込まれるためである。特に水集約型産業の操業や持続可能性を脅かすリスクが現実のものとなっている。

4.シンガポール証券取引所サステナビリティ指標(SGX Sustainability Indices)やチャンネルニュース・アジア・サステナビリティ・ランキング(Channel NewsAsia Sustainability Ranking)など、さまざまな格付けや指標、ランキングが競うように上場企業の持続可能性を評価し、ベンチマークしている。

5.シンガポール証券取引所(SGX)は上場企業に対し、2017年度より「遵守せよ、さもなければ説明せよ」の原則に基づき、サステナビリティ報告書という形で環境・社会・ガバナンス(ESG)の情報開示を義務付けている。(当要件に関するバックナンバーはこちら article

一連の動きから、シンガポールにある企業はこれまで以上にサステナビリティの管理を迫られ、多様なステークホルダーからESGの取組みについてさらなる情報開示を求められるだろう。

ではシンガポールにある企業の情報開示はどの程度進んでいるのだろうか。CSRアジアは2011年からグローバル・レポーティング・イニシアチブ(GRI)のデータパートナーを務めている(Singapore Data Partner)。GRIは世界的に認められているGRIサステナビリティ報告スタンダードの策定を手がけている。CSRアジアではシンガポールで発行されてきたサステナビリティ報告書の数を追跡してきた。GRI報告フレームワークに則り報告書を発行する企業は年々増加しているものの、増加スピードは総じて鈍い(下図参照)。シンガポールではサステナビリティ報告書の発行を要求されている上場企業が700社を超えることから、今後は大幅にスピードアップすることが見込まれる。

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データ出典:2016年12月12日付け GRIサステナビリティ開示データベース(GRI Sustainability Disclosure Database)。GRIはデータパートナーと協働し網羅的にデータ収集を行っている。

シンガポール上場企業向けサステナビリティ報告書作成のサポート

次の報告サイクルからサステナビリティ報告書の義務化が適用されるが、シンガポールの上場企業は何のサポートもなく報告要件の理解や報告書作成を迫られているわけではない。SGXは2016年6月にサステナビリティ報告要件を発表してから、グローバル・コンパクト・ネットワーク・シンガポール(GCNS)の支援を受け、CEO向け説明会や業界別セミナーを開催し、上場企業が要件を理解し、報告書作成の意義を見出すよう積極的に働きかけている。さらにSGXはGCNSに対して、業界別に1日のワークショップを開催して上場企業の報告書作成スキルアップを支援し、同時にシンガポール・サステナビリティ報告サイト(Singapore sustainability reporting website)の立ち上げを依頼した(appointed)。

CSRアジアはGCNSとSGXからコンサルタントとして選任され、企業が新たなサステナビリティ報告要件を満たすよう支援を行っている。この一環として不動産業と運輸業、資本財セクター向けに1日のワークショップを開催することとなった。(近日中に発表される日程についてはウェブサイトwebsiteを参照)

SGXと同様、CSRアジアはシンガポール上場企業にとりサステナビリティ報告要件がチャンスになると捉えている。持続可能な投資を目指し、企業のESG進捗状況を精査している各国の投資家に対してプレゼンスを高めることになるからだ。さらに報告書を作成していく中で、リスク削減に向けて自社のESG課題を評価し、イノベーションに弾みをつける貴重な管理ツールとなりうるのだ。

★CSRアジアはGRIスタンダードおよびSGXサステナビリティ報告要件に関してウェビナーを開催してきましたが、今後も継続的に行う予定です。さらに取締役向け説明会にも対応可能である。サステナビリティ報告書の作成や、企業価値を高めるサステナビリティの取組みを進める際のサポートについて、CSRアジアのアンジェラ・フルシャム(angela.foulsham@csr-asia.com)もしくはジャンティン・テオ(justin.teo@csr-asia.com)までご連絡下さい。詳細についてはCSRアジアのサイトsustainability reporting pageを参照下さい。

画像クレジット: West Michigan Sustainable Business Forum

執筆:ジャスティン・テオ